小学校の高学年の時、雀を捕まえようと思い、庭に簡単な罠を作った。ちょうど雀が入るくらいの箱をひっくり返し、その一辺につっかえ棒をして隙間を作り、周りに米をまいた。そして、つっかえ棒に糸を結んで家の中まで伸ばした。私は糸の端を握り、窓を少し開けて雀が罠にかかるのを待った。

 しばらく待っていると雀が集まって来た。そして、一羽が箱の下に入ったとき、糸を引いて、それを捕まえた。鳥は箱の中で大騒ぎをしていた。私は箱の中の雀を取り出す算段を考えていなかった。結局、板を箱の下に差し込んで箱を徐々にスライドさせ、ふたをすることにした。箱をスライドさせているとき雀の尾羽を箱の縁に挟んでしまい、2、3本は引き抜いてしまった。痛みのせいか、それはいっそう激しく鳴いた。私は箱を自分の部屋に持ち込み、最大限の注意を払って、箱を覆う板の隙間から手を差し込み、雀を私の掌中にくるんだ。それは私が夢に見ていた瞬間だった。雀の体はほとんど私の掌中に収まり、頭だけが外に出ていた。それは暖かかった。しばらく頭を撫でたりしていたが、やがて持て余し、私は部屋の中にそれを離した。雀はパニックになって、部屋の中をあちこち壁にぶつかりながら飛び回った。私は雀が可哀想になった。どうしようかと迷ったが、結局部屋の天窓を開けた。雀はそれに気づかず、まだしばらく部屋の中を飛び回っていたが、遂に飛び去った。