シナイ半島へ

 カイロに駐在していたとき、何回かシナイ半島に出かけた。シナイ半島の入口、スエズ運河まで車で3時間くらい。運河の下に作られた短いトンネルの向うがシナイ半島である。

 カイロからスエズ運河に行く道は実にわかりにくい。というか、カイロ市内でスエズ街道に到達するのが実に大変なのである。案内板があるわけではなく、道路地図があるわけでもない。知り合いのエジプト人に教えてもらい、やっとこさ道を見つける。カイロ中心部から空港へ向かう道を行き、ヘリオポリスのモスクを右に曲がって、5番目の交差点を左折…という具合に細かく覚える。街道にのってしまうと後は砂漠の中の一本道、間違えようがない。ただ、最後のほうで、運河に向かう道とスエズ市に向かう道が分岐するところがあり、気をつけないと見落としてしまう。鉄道の線路が見えてきて、それが盛り土で高くなり、その下を通る道路が見えてきたら徐行を始める。そこから小一時間で運河に達する。もう記憶があいまいになってしまったが、運河近づくと山があって、その頂上から運河が見渡せる。砂漠の中に運河にそってだけ木が並んでいる。「並木運河。」そこにドライブインがあってちょっとお茶を飲んだりできる。

 トンネル自体はとても短く、あっという間に運河の向うに行ってしまう。その向うには、シナイ半島には、シャルムシェイクを初め、名高いリゾートがあり、ここを拠点として、世界最高の透明度を誇る紅海でのダイビングを楽しむこともできる。