スコール


 私のポートモレスビーのマンションは、海岸べりの50mほどの丘の上に建つビルの6階にあった。スコールが沖のほうからやってくるのが見えた。晴れているが、急に風が強くなる。あれ、どうしたのかな、と思って窓の外を見ると、遠くに黒い雲が見える。スコールが来るなと思ってそのまま本を読み続ける。小一時間も経つと風はいよいよ強くなり、海が波立つ。そして、いきなりザーッとバケツをひっくり返したような雨が降り始める。

 私がパプアニューギニアにいたころ(92~94)のCNNはつまらなかった。特に週末は、再放送ばかりにスカスカで見る気もしなかった。オーストラリアのクイーンズランドのテレビQTVも入ったが、これも牧羊犬の競技大会とか、ルールもわからないaussie ballを延々とやってたりしてつまらない。地元のEMTVはもっとひどかった。

 私は仕事から帰ってくると、ベランダに出て、海を見ながら日本のNHK短波放送を聞いた。アナウンサーの声は波のように大きくなったり小さくなったりした。日本ははるかに遠いことを実感した。